父さんの顔

幼い頃は 夕方親子(ふたり)
明かりの薄い 粗末な風呂で
肩も浸かれと 親父の膝で
竹の柄杓(ひしゃく)で お水を飲んで
百を数えた 檜(ひのき)風呂
怖い顔した 父さんの顔

他人(ひと)には甘い 父親だけど
家(うち)では怖い 雷神(カミナリ)様で
幼心(おさなごころ)に 思って泣いた
あんな親父の 真似などしない
きっとしないと 誓ってた
遠い昔の 故郷遥(はる)か

何でも早く 仕事を済ませ
姉弟(きょうだい)みんな 育ててくれた
遊びもせずに 泣き言言わず
強く一途な 親父の顔が
今も夕陽に 浮かんでる
父の笑顔が 見てみたかった
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