DV

新宿西口駅の前
あなたと21時待ち合わせ
電車が遅れた 2分遅刻
私悪くないけど

手を繋ぎ帰宅
鍵に手をかけたあなた

その時あなたの目が変わったの

「“もう裏切らない”約束したろ?
なんでまた俺悲しませるの?」
髪かすめた靴 割れたライト
倒れこむ私

「もう二度としない、ごめんなさい」
痛い
怖い
苦しい
逃げたい
もうあなたには聞こえない声
「お願い、許して」

異性と話すこと
電話出られないことも許されない
言い訳は怒り増すだけ

「何度言えばわかるの?」
「別れるなら俺死ぬよ」

「違う、私が悪いの。直すから」

私が
私がいけないんだ
全部全部私がいけないんだ

いけないんだ
いけないんだ
いけないんだ...

「“もう二度としない”約束してよ。
辛いのは俺も同じだから」
あなた見上げる 薄れる意識
“私、死ぬのかな”

でも今耐えればいつものあなた
永遠をくれる優しい人
やっと見つけた幸せ
失くすのもう嫌だから

一発目
後頭部

二発目
下腹部

飛んで来るライター
割れていく食器

三発目
大腿部

避けちゃダメ 拒んじゃダメ
止めちゃダメ 責めちゃダメ

寂しいだけなんだよね
怖いだけなんだよね

この1時間を耐えれば
平和な23時間が待っている

動かなくなった私

換気扇の下、タバコを吸うあなたの背中
でもそれが何故か愛おしく見えて

火が消える音、微かに聞こえた

戻ってくるあなた
目が変わった

「“もう二度としない”約束するよ。
だからまだ側にいてお願い。」
抱きしめるあなた
痛くて優しい歪んだ愛

許してしまうの
あなたに私 必要だから
違う本当は私にあなたが必要だから
抜け出せないの
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