鳴門ちどり

千鳥ちろちろ なぜ啼くのやら
泣けば 鳴門の 潮鳴りに
捨てて流した 初恋かなし
所詮逢えぬと 知りつつ又も
波のしぶきに 濡れてゆく

文のかずかず ちぎってなげて
うずにまかせた 私ゆえ
逢えぬ人なら あきらめましょと
きめていながら いくたび通う
千鳥お前も せつなかろ

恋し恋しと なきなき帰る
鳴門海峡よ さようなら
辛いさだめは 女の道に
白くあわだつ うず潮なのか
瀬戸の波間に 残る夢
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