玄界灘

怒涛逆巻く 玄海灘を
衝いて漕ぎだす 父子船
明日は東京へ 出てゆく俺に
海のにおいを おぼえてゆけと
しぶき しぶき眼尻に 光らせて
どなる親父のヨ 心が身にしむぜ

海栗を肴に 獨酒あおりゃ
あとは無口な 父子酒
花が咲いたら 迎えにくると
いえばあてには するかと黙る
白髪 白髪まじりの 陽灼け面
どうか達者でヨ 待ってておくれよな

照る日 時化る日 玄海灘の
潮でみがいた ド根性
やると決めたら梃子でも退くな
がんこ親父の 餞ことば
なんで なんで忘れて たまるかよ
骨の髄までヨ 玄海育ちだぜ

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