匂い立つ風

樹々を揺らして こぼれた光
掌に集め あなたを憶い出してる

息を切らして急ぎ足で
坂を駆け上がって来て

ごめんねって言って小さく笑う
待ってる時間も宝物だったのに

季節を手探って あの瞬間を
取り戻せるなら そう ほかに何も要らない

1秒ごとに 近づいて来る
笑顔が全てだった

あなたが育てた庭の
ライラックが咲いたよ
悲しみに寄り添うような
優しい色だよ

花を揺らして 匂い立つ風
もう少しでいいから あなたを感じていたい
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