地獄

銭でも降ってこないかと
アホ顔で空を見上げれば
慰めみたいな粉雪が
灯油臭いジャンパーに落ちる

閉じ忘れた瞼の奥に
朝日が差し込んでくる
バイト雑誌を放り投げ
冷めたメシに箸を突き立てる

過去を消せる消しゴムをくれよ
ついでに今を消せる消しゴムをくれよ
天国なんてものからは程遠く
暮らしというよりはむしろ地獄

笑っちまうのはそれでも明日を信じていることさ

引き出しの奥の小さなアルバムを
パラパラとめくってみれば
あの頃のぼく 今のぼくに問い掛ける
「よう、調子はどうだい?」「上々だぜ」

今を描く鉛筆をくれよ
ついでに未来を描く鉛筆をくれよ
天国なんてものからは程遠く
暮らしというよりはむしろ地獄

笑っちまうのはそれでも夢を信じていることさ
笑っちまうのはそれでも明日を信じていることさ
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