狂った果実

ひとしきり肩濡らした冬の雨
泥をはねて行き過ぎる車
追いかけて喧嘩でもしてみたら
少しぐらい心もまぎれる
狂った果実には 青空は似合わない
家を出たあの時の母のふるえる声は
今でも耳に響いてる 低く高く

ポケットで折れていたハイライト
おかしくて吸う気にもなれず
かじりかけの林檎を
ただ思い切り投げつける都会の闇に
許してくれなんて 言えない
今の俺には ナイフすてたこの手で
回すダイヤルの音
せめてもう一度 刻みたい声がある

生まれてきたことを
悔やんでないけれど
幸福に暮らすには時代は冷たすぎた
中途半端でなけりゃ 生きられない
それが今

狂った果実にも見る夢はあるけれど
どうせ絵空事なら
いっそ黙ってしまおう
せめてこの胸が 裂けるまで
Silence is Truth!
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