夢千代日記

トンネルを一つくぐれば もう鉛色
空の下には 海鳴りばかり聞こえてきます
雪は音なく 降ってます
ここは淋しい なぜか淋しい
誰か 明るい花挿して
道連れが欲しい 欲しい…

零下三度 北の風
夜になって また雪
独りで歩けと おっしゃれば
そうもしますが
雪は深く
冬はあまりに 長いのです
山の向うは 今日も晴れとか

春来(はるき)川に雪が流れて もう春ですね
明日(あした)信じて 橋のたもとで待っていた
今年も桜 咲きますか
なのに淋しい なぜか淋しい
誰か私を 抱きしめて
道連れが欲しい あなたが…

私の命は もうわずか
北の風 まだ強く吹く
一日中 海鳴りばかり
春がくれば 春がくればと
一日を命刻むように 生きています
ああ 誰かが 私を呼んでいます

今年も桜 咲きますか
なのに淋しい なぜか淋しい
誰か私を 抱きしめて
道連れが欲しい あなたが…

山の向うは 今日も晴
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