ひとちがい

熱い風に押されて ビルの中へかけ込む
つま先立つ私は 彼の姿さがす
約束などないのに 会える気がしたこの店
ひといきれの向こうに 青いシャツを見たの

まるで私など知らないような顔で
「君には悪いけれど」
ねぇ誰に手を振ってるの?

ほんのひとちがいだと言って
誰か頬をつねって 目をさまして
幸せすぎるから 少し疑うだけと

待ち合わせの恋人 肩を寄せて出て行く
溶けたアイスウォーター 何を待っていたの?
「君にはまだ言えない 半年前のこと
別れたその彼女が 会いたいってゆうべ」

夏の夕暮れがブルーに染まる頃
「二人とも好きなんだ」
驚いた私残して

ほんのひとちがいだと言って
誰かおかしな夢と言って欲しい
世界中さがせば似てる男性はいるもの

見慣れたガラス窓にタクシー止める二人
なんだか遠い映画でも見てるみたい

ほんのひとちがいだと言って
誰か頬をつねって 目をさまして
幸せすぎるから 少し悲しいこと思うだけと

本当の事は見えないの
見えない方が良かったけど
世界中さがせば似てる男性はいるもの

彼とよく似た男性はいるから
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