しのび川

湯上りの 船宿で
ひとり浴衣の 帯しめながら
残る温もり 抱きしめる
たとえわずかな 逢う瀬でも
あなたのそばに いたいの私
炎えるふたりの あゝしのび川

川岸に けむる雨
傘にかくれて 人目をさけて
帰るあなたを 見送るの
辛い別れに 耐えながら
女の胸の この淋しさを
水に流した あゝしのび川

この川に 身を投げて
死ねば苦しみ 消えるでしょうか
どうせふたりの 行く先は
花も咲かない 春もない
涙で終る さだめの淵で
愛にさまよう あゝしのび川
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