恋文川

紙の舟には 櫂(かい)はない
流れまかせで 梶(かじ)もない
そっと浮かべる 短冊に
おんなごころを 添えましょう
恋しいあなたの あなたの胸に着け
恋文川は 渓流(たに)をゆく

募る思いを 詩(うた)にして
好きという字で 留めました
逢える明日が 来るならば
恋の蛍が 翔ぶでしょう
笑顔のわたしが わたしが見えますか
恋文川は 里をゆく

一つ二つは 母の子で
七つ八つは 父の子で
愛に背いて 旅立って
二十才(はたち)過ぎたら 帰れない
恋しいあなたの あなたの胸に着け
恋文川は 街をゆく
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