影唄

ここにあんたがいないのは
時の流れのせいなのか
それとも酒の絆など
雨にほころぶものなのか

ここにあいつがいないのは
夢に蹴られたせいなのか
それとも風の船に乗り
夜を渡っていったのか

やけに華やぐ街の灯に
人は訪れ 人は去る
なぜか消えない面影の
肩を抱いたよ 一人きり

ここにあの娘がいないのは
無垢な瞳のせいなのか
それとも気障な泥棒が
投げた台詞を覚えたか

ここに酒しかいないのは
一人はぐれたせいなのか
それともいつか幻を
俺も映して去るだろうか

やけに華やぐ街の灯の
ヤワな宴にはじかれる
誰に聴かせるわけもない
唄が俺にはあるんだろう

おたまじゃくしもない唄が
俺の心にあるんだろう
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