かあちゃん

最後にかあちゃんと 話しをしたのは
木枯らし吹き荒れる 二月半ばの寒い夜
小さなかあちゃんが ひび割れた手で
背中丸め寒い中 おれに酒買うて来てくれた
そんな優しいかあちゃんが
風邪を引くなと寝る前に
湯たんぽ入れてくれたのに
口を閉じて冷たくなったのは
粉雪ちらつく 夜明け前だった

いつもかあちゃんは 素顔のままだった
通夜(さいご)の夜はおれの手で 薄化粧させてくれ
いつもかあちゃんに 苦労かけてきた
最後に紅をつけた時 優しい笑みを浮かべてた
明日には旅立つかあちゃんの
側に今夜はいたいのさ
かあちゃん聞こえるかい 最後のわがままを
おれとかあちゃんの 思い出話しを
いっぱいいっぱい 話すから聞いてくれ

いつかおれも 天国へいったなら
親孝行するからそれまで のんびり暮らしてな
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