名前のない鳥

環状線 三分間隔のベルに息も詰まるだろう
整然と並ぶ吊革は澄ました横顔

大衆性 最新の意味は何、と問いかけてみたんだ
巧妙に調整された見てくれに騙されている 誰も知らない

名前のない鳥は今日も飛べずに
いつしか記号に変わってしまったの
「配置こそが美徳」なんて
まことしやかに誰かが言うけど
ツバメの子のように口を開いて
待っているだけではいられないんだわ

秒針の隙間で移りゆく景色を見ていたいな
一瞬を切り取って
延々と輝くアスファルト 道は何処へやら
共通の特徴を探すことが正しいのかは誰も知らない

名前のない鳥は今日も飛べずに
いつしか記号に変わってしまったの
「ポーズそれが魅力」なんて
街に溢れる流行の色は まばたきの間に変わってしまうから
わたしには到底似合わないんだわ

思い出しか語れない その口は閉じてしまえ
喧騒も時代もムードも かわして飛び立つんだわ

たとえばわたしが地図から消えても
見上げた青空が涙になっても
なくした名前を探しにゆくから
ここにいるよと歌っているから

名前のない鳥は今日も飛べずに
いつしか記号に変わってしまったの
「配置こそが美徳」なんて
まことしやかに誰かが言うけど
ツバメの子のように口を開いて
待っているだけでは嫌!いてもたってもいられないんだわ
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