流星の音がきこえる

澄んだ空気に絆されて 僕はすっと手を伸ばす
遥か高くを泳ぐ星に向かって
「あの山の頂上からならば もしや 手で掴めるんじゃないか」
なんて、月並みな過去を今 笑う

あっという間に空に敷かれてく軌跡 あっという間に夜に溶けてゆく
それはずるい とてもずるい 奇麗すぎるから
あっという間に雲間を照らした光 あっという間に闇に帰ってく
その孤高な 潔さが 寂しすぎるから

何もしてこなかった事に 僕はふっと気が付いた
未だ高くを泳ぐ星を見上げて
「あの山の頂上に登っていれば 手が届いたんじゃないか」
なんて、ありふれた想像に身悶える

あっという間に空に敷かれてく軌跡 あっという間に夜に溶けてゆく
それはずるい とてもずるい まぶしすぎるから
あっという間に雲間を照らした光 あっという間に闇に帰ってく
僕の中を 映すようで 悔しすぎるから

あの日 何より 瞬いた姿が
記憶の中に 埋められてしまっても
あの日 何より 瞬いた姿が
摩擦の熱で 燃え尽きてしまっても
流星の音がきこえる 音は地面に跳ね返り
流星の音がきこえる 隈なく大気の波に乗る
流星の音がきこえる それに僕は少しだけ泣いて
流星の音がきこえる 次の朝を迎えに行く
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