HANON

君を包む雲や雨を
晴らす事は出来ないかと
時として押し付けて
困らせては苦しくなって

今も夜が怖いままか
部屋で一人泣いてないか
空は冷たい顔で
口をつぐむままで

また耳を撫でた風はフォルテッシモ
揺れて漂う溜め息も 泡沫(うたかた)に

嗚呼 愛は包帯 時に刃物だと
思い知る夢の中
僕が君に渡せたものは何だろう
形を変えては不意に霞みゆくオーロラの靡(なび)き
また風が嘶(いなな)いたなら
笑い合えるだろうか

鏡越しに先を案じ
足を止める事もあれば
そこから見える景色
眺めながら悩む

微かに瞬く星はピアニッシモ
深い青が緩やかに顔を出した

悲しみも少しふやけるほど
君に満たされていたよ
未だ心に残る 柔な笑顔
新しいページめくっていく度に
懐かしむけれど
また星に目が眩んだとしても
戻れないあの日々

また聞こえてくる風はフォルテッシモ
揺れる花も凛として 背中を押すよ

嗚呼 愛は包帯 時に刃物だと
思い知る夢の中
僕が君に渡せたものは何だろう
形を変えては不意に霞みゆくオーロラの靡(なび)き
また風が嘶(いなな)いたなら
笑い合えるだろうか
×