友が偉く見える日

友がみな偉く見える日 詩人を真似てスミレを買った
早く帰って何も言わずに お前に渡してみたかった

男の人生のほろ苦さが 風のように沁みる日
おれもお前もゲームのように 暮らせなくなる年頃

友がみな偉く見える日 スミレをかばい駅へ急いだ
心の底から笑えた頃の 遠さをはじめてかみしめた

友がみな偉く見える日 電車の窓の闇に映った
みじめな顔に耐えきれなくて 盛り場の駅でつい降りた

男の人生のほろ苦さが 風のように沁みる日
おれもお前もゲームのように 暮らせなくなる年頃

友がみな偉く見える日 結局酔ってスミレを失くし
帰るとお前の枕元には スミレがひと鉢匂ってた
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