湯の町月夜

惚れているから 身をひきますと
わずか二行の 置手紙
噂たずねる 箱根路の
花に愛(いと)しい 笑顔がゆれる
ああ 君に逢いたい… 湯の町月夜

女ごころも わかってやれず
責めているのか 月あかり
どこか倖せ うすいやつ
身体こわすな 無理などするな
ああ 夜風(かぜ)につぶやく… 湯の町月夜

たぐり寄せれば ちぎれる未練
何故に結べぬ 細い糸
逢えぬつらさと 淋しさを
酒でまぎらす 強羅(ごうら)の夜よ
ああ にじむ涙の… 湯の町月夜
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