ああ玉杯に花うけて(一高寮歌)

嗚呼玉杯(ぎょくはい)に花うけて
緑酒(りょくしゅ)に月の影やどし
治安の夢に耽(ふけ)りたる
栄華(えいが)の巷低く見て
向ヶ岡にそそり立つ
五寮の健児意気高し

芙蓉(ふよう)の雪の精(せい)をとり
芳野(よしの)の花の華(か)を奪い
清き心の益良雄(ますらお)が
剣(つるぎ)と筆とをとり持ちて
一たび起(た)たば何事か
人世の偉業成らざらん

濁れる海に漂(ただよ)える
我国民(わがくにたみ)を救わんと
逆巻(さかま)く浪(なみ)をかきわけて
自治の大船(おおぶね)勇ましく
尚武(しょうぶ)の風(かぜ)を帆(ほ)にはらみ
船出(ふなで)せしより十余年

行途(ゆくて)を拒(こば)むものあらば
斬(き)りて捨つるに何かある
破邪(はじゃ)の剣(つるぎ)を抜き持ちて
軸(へさき)に立ちて我(われ)よべば
魑魅魍魎(ちみもうりょう)も影ひそめ
金波銀波(きんぱぎんぱ)の海静か
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