都の雨に

故里(ふるさと)を 想いださせて
降りしきる 雨は絹糸
帰ろうと おもいながらも
いたずらに 時を見送り
待つ母に わびる明け暮れ

追いすがる 母をふりきり
若さゆえ 棄てた故里
人の世の 夢にやぶれて
ふりむけば 胸にやさしく
草笛の 歌はよぎるよ

まごころの うすい都に
降りつづく 雨は溜め息
ひびわれた 心ひき摺(ず)り
うつむいて 生きる夜更けに
ひとり聞く 雨のわびしさ
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