早春賦

春は名のみの風の寒さや
谷の鴬歌は思へど
時にあらずと聲も立てず

氷解け去り葦は角ぐむ
さては時ぞと思ふあやにく
今日もきのふも雪の空

春と聞かねば知らでありしを
聞けば急かるる胸の思を
いかにせよとのこの頃か
×