あなたをなくしたころから

あなたが遺した絵に描いた
花が咲く季節だよ
ステキな思い出がいっぱいだ、と
口癖が愛しいよ

都市が少しずつ知らぬ間に汚されてゆく
大切な誰かの声も灰色のノイズに消される

ワタシは生きていく
風に乗って異国の石畳走っていくの
青空、あなたとの思い出よ

雑踏にいまにも消えそうだった
感謝する気持ちさえ
あなたをなくしたころから
伝えられるようになった

最後のメトロでめくった小説のなかの
切ない台詞交わすシーンにあの懐かしい午後重なる

恋するたびにまたオトナになって
あなたがくれたように与えられたら
静謐かな誇りと優しさを

サヨナラ この東京とお別れ
でも、あなたの面影は置いて行こう

翼がこの都市を遠ざかるわ
遥かな青い空
約束の地で
静謐かな誇りと優しさを
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