伝え歌

おじいが歌う 三線を奏でて 傍らで踊った島の夜
月明かり浴びて 島酒を飲んでは いつの間にやら 高いびき

お日様が昇れば 畑に出かけて 夕暮れになれば 島唄うなる

愛しい孫が島を出てから 歌うあの声が消えたと
カレンダーにしるされたのは 「この日 孫が帰る日」

おじいが歌う 古い島唄を 意味など知らずに踊った夜
島酒に酔って そのまま寝ちゃっては 自分のくしゃみで目覚めてた

そんなおじいが寝たきりになって 喋ることさえ出来なくなった

カレンダーに 書きしるされた 孫が帰るその日を指差し
「あと二日だ」と声掛けられて 静かに天に召された

おじいが好きだった 古い島唄を 縁側で歌って涙こぼれて

孫に会うまで 明日(あす)を信じた あなたに会えるその日まで
三線つまびき 島人の歌 永久に伝え響けと

歌を永久に伝えと
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