男の忘れもの

俺が年(とし)だから あいつもいい年
バーの片隅 それでも逢いたい…
何がふたりを 切れさせた
鈴なりの麗人(おんな)に 瞳(め)が眩(くら)みつづけて
どじだろ どじだぜ …男の忘れもの

横で寝た頃は 愛とは知らずに
罪な生傷(なまきず) あいつに負(お)わせた…
俺を静かに 赦(ゆる)すより
その胸の怨みを 打(ぶ)ちまけてくれたら
楽にも なれたさ …男の忘れもの

訊(き)かずとも聞いた あいつのあれから
客(ひと)は好きだよ 落ち目の噂が…
せめてどちらか 幸せに
今日夜の麻布で すれ違い合えれば
ここまで 痛まぬ …男の忘れもの
×