伊万里の母

大きな愛と やさしさの
母はちいさな 人だった
背丈の倍の 荷物を担(かつ)ぎ
行商仲間と 笑顔を交わし
手を振り乗り込む 朝市電車

(セリフ)
仕事から帰ってきたおふくろの手は、
いろんなにおいがした。
野菜のにおい、花のにおい、
そしてたいがいは、魚のにおい。
そんなおふくろの手は、いつも、ひび割れていたなァ…。

女手ひとつで おれたちを
五人も育てて くれた人
都会の暮らし ひもじくないか
他人に迷惑 かけずに生きろ
ひらがなばかりの 手紙をくれた

伊万里の橋の 夕焼けが
母は一番 好きだった
いろいろ都合も あるだろうが
そろそろこっちで 暮らしてくれよ
苦労の荷物 降ろしてくれよ
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