おんなの波止場

鴎が低く飛ぶ 夕陽が窓染める
汽笛が遠くで 風に泣く
今は逢えない あの人なのに
いつか帰って 来るようで
未練ごころを 断ち切れず
あれから何年 おんなの波止場

薄紅そっと引く 止り木灯(ひ)を入れる
暖簾(のれん)を掛ける手 また重い
嘘でいいから 便りのひとつ
それで半年 生きられる
ひとりぼっちが 好きだよと
何処へも行けない おんなの波止場

この店畳む日が 着物を捨てる日が
港へ迎えに 行ける日が
何もいらない その日が来たら
泣いていいでしょ おもいきり
海の向こうの あの人を
返して下さい おんなの波止場
×