松山しぐれ

途切れた恋を ひとひらの
雲に乗せてく ひとり旅
お城山から 見下ろす町は
遠く涙で にじみます

生きてゆくのは 淋しくて
いつか濡れゆく 松山しぐれ

こころは澄みて 身は病みて
庭の鶏頭 みつめてる
子規のやさしい あのまなざしが
胸に沁みます きしみます

遠いあの人 想うたび
まぶた濡れゆく 松山しぐれ

緑に染まる かなしみは
桜三里か つづら川
蝉の鳴き声 静かになれば
やがて峠に にわか雨

まるでかなわぬ 恋のように
胸も濡れゆく 松山しぐれ
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