瀬戸内しぐれ

明石(あかし)海峡 さえぎるように
霧が邪魔する たちこめる
いくら好きでも 結べない
薄い運命の 細い糸(いと)
未練渦まく 瀬戸内しぐれ

船の背中を 追いかけながら
騒ぐカモメの 憎らしさ
せめて私に 欲しかった
きっと帰るの ひと言が
明日(あす)が見えない 瀬戸内しぐれ

船よ急いで 錨(いかり)を上げて
辛い心が 判るなら
ひとり見送る 淋しさに
波がからんで 打ち寄せる
肩に冷たい 瀬戸内しぐれ
×