サナトリウム

漱石の本
投げだして くちづけした
窓辺の 水の花
あざやかに
ふるえて あなたの ワンピース
白地に花が 浮きだして
とっても 淡くて きれいネ

ソーダ水ふたりで
飲んで とっても涼しいネ
あなたは チェリーを
ほおばって
別れは いつも つらい夢
今宵は もう 遅いから
あなたの 横顔 悲しそう

「語り」
結核前夜のように
ぽくは よく同じ夢を見ます
それで ぼくは汗ばみっぱなし
だから
ぼくの左の肺の中は
水でいっぱいです
もうすぐ
ぼくの左の肺の中に
真赤な花が咲くはずです
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