ラムネノーツ

波止場には丸く太った 猫が寝そべっている
食べかけのイワシを忘れて
釣り竿は一度も揺れず 陽の光がただ
バケツの海水を転がす

足を投げ出して座って 初めて敗れた
恋の話でも思い出そう
ステレオで聞こえてくる
波の音に恥ずかしさ隠して

右手にはまだ冷たく 弾けてるラムネ
この空と同じ色

潮風にウトウトして 気付けば夕暮れ
日に焼けて少し痛む腕
「恋の話はもう終わり?」
君の声が聞こえた気がしたよ

右手には炭酸が抜けて 温くなったラムネ
あの恋によく似た味
取り出してみたビー玉 涙する前に
海に投げてしまおう
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