ジオラマ

何も浮かばず 何も沈まず静かな丘で
隣の君は遠い目をして
いつものポーカーフェイス
今夜の風は北よりの風 冷えた三日月
踊る街灯 滑る人影
ジオラマの街

一粒の欠片はただ ゆっくり甘く溶けるだろう
「君だけは守れるさ」と 寂しがりやのプライド

青い画用紙と白い綿毛を 夜に被せて
白熱灯の笠を外せば
昼の街並

溜息を吹きかければ ほら 雨雲の出来上がり
「このまま消えてしまえ」と 卑怯者の黒魔術

一粒の欠片はまだ 溶けず苦く冷たいまま
思わず噛み砕いたら 覚めた夢 崩れた街
「最初からやり直し」と 二度寝する臆病者
夕焼けの作り方は 君のセンスに任すよ
×