組曲「鬼子母神」~産衣

外れに 攫みし 一縷の 望み
沈くも 泛ぶは 涙すら 零す

飯櫃な 刻よ 魂 呼ばいて

贄す 産子 釁らる肝に
香が 揺らめいて
薫る 魄の 甦す 愛子よ
最早 冥慮は 要らぬ

呼べども 応えぬ  黙の 哀れ
空な 蛻の 産衣を あやす

飯櫃な 刻よ 魂 呼ばいて

贄す 産子 釁らる肝に
香が 揺らめいて
薫る 魄の 甦す 愛子よ
最早 冥慮は 要らぬ

甦る 愛子 切なる肝よ
何れ 屠ららば
同じ事ぞ 勾引ふ 贄子よ
最早 憂慮は 要らぬ
×