人生みなと

枯葉ひとひら 音もなく
転げる路地の こぼれ灯(び)づたい
涙ほろほろ 人生みなと
言葉忘れて 呑む人の
肩が寂(さみ)しい 縄のれん

遠い汽笛が この胸の
思いをつれて 故郷(こきょう)へ帰る
吐息とまり木 人生みなと
供花(はな)も今さら いらないと
窓にあの娘(こ)の 流れ星

死ぬも生きるも 浮世なら
さだめのままに 流れていたい
命ゆらゆら 人生みなと
酔うてひととき うたた寝の
海に漂う はぐれ舟
×