しぐれ橋

揺れる吊り橋 小走り駅に
傘を差す手の 重たさつらさ
待てばじらされ 別れは早い
ひと夜限りの 迎えの汽車は
こころ乱れる しぐれ橋

昨夜(ゆうべ)夢では 炎と燃えて
醒めたふたりを 鏡に映す
冷えた指先 あなたの胸に
そっとしのばせ 情けをさがす
朝はなみだの しぐれ橋

あなた似合うと 選んだ紬
素肌通せば 愛しさつのる
惚れたおんなの 未練でしょうか
連子窓(れんじまど)から 見送る背中
名残り切ない しぐれ橋
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