アトムの光

すべての空の色を覚えている胸の奥に
今テレビに映るアトムの雲 広がるの

熱を計るように
あなたは私に手をあてて
睫毛の先を噛む
朝露を口に含むように
小さな命が芽生えてる
このからだがただ悲しむの
テーブルにはコーヒー
他になんにもないこんな朝に
何を残せばいい?
そっとふたり抱き合うけど
目覚める街の隅で
鳥は今日も鳴いている

遠い国の丘の
地雷の上にも咲くアザミ
そんなふうにいつか
私たち強くなれるかしら
窓を開けたら空は
この部屋の中まで照らしてくれる
そして何も知らずに生まれる生命を
迎えてくれる
見て アトムの光
痛いくらい青い空も
ささやかな夢さえも燃えてしまう
幼い日の夕焼け
あなたと見た雨の夜明け
すべての空の色を覚えている
いつまでも
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