雨乞い小町

ぽつん ぽつんと空から
ぽつん ぽつんと
ぽつん ぽつんと地面へ
黒い滲(シ)みになった

ぽつん ぽつんと雨粒
ぽつん ぽつんと
二人包む相合傘(かさ)叩く

暗黒の深海を歩いているみたい
攻め寄るスリルも甘い前触れ
あたしを逆流(なが)れる熱い想いがあふれそう

優しいあなたの右肩が濡れてる
愛しいあたしを守るため濡れてる
その姿美しい

冷たい雨ならこのまま降り続け
激しくなるほどこの距離を近づける雨の
二人は囚われ人になる

ちりん ちりんと後から
ちりん ちりんと
ちりん ちりんと黒猫
不安を手招く

ちりん ちりんと鈴の音
ちりん ちりんと
音を揺らし走り去る

沈黙の深淵に胸潰れそう
こんなにも大切に誰かを想う
純粋な欲望に溺れるのも心地いい

優しいあなたの右肩が濡れてる
愛しいあたしを守るため濡れてる
その姿美しい

冷たい雨なら明日も降り続け
優しいあなたが優しいままでいられるように
二人を閉じ込めてしまえ

ぽつん ぽつんと空から
ぽつん ぽつんと
ぽつん ぽつんと地面へ
雨は弱くなった
雨はやんでしまった
雨はやんでしまった
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