ひまわり

ばっさり短くなってちょっと軽くなった十五以来の前髪
じっと目つむって すっと感じた風 網戸をくぐる蝉の声

バス停に一本だけ咲くひまわりは今一番大きな種つけて
光をいっぱい受けとめたくて 背高のっぽになっていくの

手をつないで お互い帰り道 ちがう「いつも」探してた
きっと急いで来たから なにか忘れてたの
何度も何度も 指切りしたまま

ひまわり あの夏に生まれたんだよ
浴衣とスニーカーで一緒に隠れた スイカの種をとばしたっけ お祭りに行こう
ねえ いつも太陽のほうに伸びていくのが くすぐったそうだった
まつげの先に夕焼け小焼け 首をかしげて真似してた 君が揺れていた

お互いにとって とってもちっちゃいことなのに いっつもたくさんケンカした
運命はきっと何かのわけがあって わかんなくて 良かったんだな

手をつないで あの自動改札 いっしょにジャンプしてとぼう
何処にいくとこもないけど 眩しい空を越えたい
いっぱい いっぱい 息をしたまま

ふたり あの夏に生まれたんだよ
約束しなくても毎日会えた ヨーヨーいっぱい持って待ってたよ
ひまわりみたいに
ねえ あたし最終のバスが通り過ぎても 見つけられなかった
半分こにした宿題だけが 机の上にすっぽかされて ひろげてあるよ

手をつないで 次に何をするの? 未来はいつも難しい
どうして走りつづけたら なにか忘れてくの
何度も何度も 指切りしたまま

ひまわり あの夏に生まれたんだよ
季節がめぐるたびあの場所で咲く ぼんやり君を思い出すよ
繰り返してる
ねえ いつも太陽のほうに伸びていくのが くすぐったそうだった
はぐれない影に夕波小波 首をかしげて真似してた 君が揺れていた
君と揺れていた
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