かくれ妻

あなたと添寝の すき間から
わかれの寒さが しのびこむ
罪という名の あぶない橋を
渡って落ち合う 恋一夜
わたし湯の郷 かくれ妻

半分やつれた 月かげを
丹前を羽織って 窓に見る
うらむ気持ちは 無いはずなのに
しずかな寝息の にくらしさ
わたしあなたの かくれ妻

死んでもいいのと 春の夜
帰しはしないと 秋の朝
川に流した 想いは幾つ
いまさらないてる せせらぎよ
わたし散る花 かくれ妻
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