八木節

アー
ちょいと出ました 三角野郎が
四角四面の櫓(やぐら)の上で
音頭取るとは 恐れながら
しばし御免を こうむりまして
何か一言 読みあげまする
稽古不足で 覚束(おぼつか)ないが
平にその儀は お許しなされ
許しなされば 文句にかかるで
オーイサネ

アー
上州名代の 大親分は
度胸すぐれた 国定忠治
百姓泣かせの 悪代官を
取っておさえて 一泡ふかせ
今宵かぎりと 赤城を下る
ここに哀れは 板割浅よ
叔父の形見の 勘太を背負い
坊やよい子だ ネンネンコロリと
オーイサネ

アー
聞いておくれよ のろけじゃないが
逢うた初めのひと目で惚れて
思い込んだる 私の心
昼はまぼろし 夜は夜で夢に
見ると云うても 覚めれば他人
一生他人にならないように
早いところで都合をつけて
そわせたまえや 出雲の神様
オーイサネ
×