一本刀土俵入り

山と積まれたお宝さえも
人の情けにゃ 代えられぬ
なんで忘れよ 花かんざしに
こもる心を
受けて茂兵衛の こらえ泣き

(セリフ)
「取的さん、お前本当に精を出し
て立派な関取りにおなり、いっしょう懸命お
やり、そうして故郷のおッ母さんのお墓の
前で横綱の土俵入りを、きっとやるんだよ」

厚い化粧に 涙をかくす
茶屋の女も 意地はある
まして男よ 取的さんよ
見せてお呉れな
きっとあしたの 晴れ姿

(セリフ)
「おおお蔦さん、棒ッ切れを振
りまわしてする茂兵衛のこれが十年前
に、櫛・笄・巾着ぐるみ、意見をもらった
姐さんに、せめて見てもらう駒形の、し
がねえ姿の土俵入りでござんす」

逢えて嬉しい 瞼の人は
つらい連れ持つ 女房雁
飛んで行かんせ どの空なりと
これがやくざの
せめて白刃の 仁義沙汰
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