裏町人生橋幸夫 | 橋幸夫 | 島田磐也 | 阿部武雄 | | 暗い浮世の この裏町を 覗(のぞ)く 冷たい こぼれ陽(び)よ なまじかけるな 薄情け 夢も侘しい 夜の花 誰に踏まれて 咲こうと散ろと 要らぬお世話さ 放っときな 渡る世間を 舌打ちで すねた妾が 何故悪い 霧の深さに 隠れて泣いた 夢が一つの 想い出さ 泣いて泪が 枯れたなら 明日の光りを 胸に抱く |
船頭小唄橋幸夫 | 橋幸夫 | 野口雨情 | 中山晋平 | | おれは河原の 枯れすすき 同じお前も 枯れすすき どうせ二人は この世では 花の咲かない 枯れすすき 死ぬも生きるも ねえおまえ 水の流れに 何変わろ おれもお前も 利根川の 船の船頭で 暮らそうよ 枯れた真菰(まこも)に 照らしてる 潮来出島の お月さん わたしゃこれから 利根川の 船の船頭で 暮らすのよ |
かえり船橋幸夫 | 橋幸夫 | 清水みのる | 倉若晴生 | | 波の背の背に 揺られて揺れて 月の潮路の かえり船 霞む故国よ 小島の沖じゃ 夢もわびしく よみがえる 捨てた未練が 未練となって 今も昔の 切なさよ 瞼合わせりゃ 瞼ににじむ 霧の波止場の 銅鑼(どら)の音 熱いなみだも 故国に着けば うれしい涙と 変るだろ 鴎ゆくなら 男のこころ せめてあの娘(こ)に つたえてよ |
無情の夢橋幸夫 | 橋幸夫 | 佐伯孝夫 | 佐々木俊一 | | あきらめましょうと 別れてみたが 何で忘れよう 忘らりょか 命をかけた 恋じゃもの 燃えて身をやく 恋ごころ 喜び去りて 残るは涙 何で生きよう 生きらりょか 身も世も捨てた 恋じゃもの 花にそむいて 男泣き |
誰か夢なき橋幸夫 | 橋幸夫 | 佐伯孝夫 | 清水保雄 | | 想いあふれて 花摘めば 白い指さき 入日がにじむ あざみなぜなぜ 刺持つ花か たとえ ささりょと ああ 誰か夢なき 森の梢(こずえ)に 照る月も くもれ男の 切ない涙 つよくあきらめ 忘りょとすれば 声が またよぶ ああ 誰か夢なき 愛がまことの 愛ならば 慕うこの花 あの花二つ 結ぶ都の 優絲(やさいと)柳 春よ 輝け ああ 誰か夢なき |
紫のタンゴ橋幸夫 | 橋幸夫 | 佐伯孝夫 | 飯田信夫 | | 春の花を胸に セニョリータ きみと踊りしタンゴ セニョリータ 甘き接吻(くちづけ) ギターの囁(ささや)き なつかし想い出に さしぐむ涙 月細く 春はゆくとも 忘らりょか 恋の宵 紫の夜 若き生命かけて セニョリータ 燃えて踊りしタンゴ セニョリータ 心そぞろな 木蔭の秘めごと ほのぼのと薫(かを)りしは 花かよ君か 月細く 春はゆくとも 忘らりょか 恋の宵 紫の夜 |
啼くな小鳩よ橋幸夫 | 橋幸夫 | 高橋掬太郎 | 飯田信夫 | | 啼くな小鳩よ 心の妻よ なまじなかれりゃ 未練がからむ たとえ別りょと 互の胸に 抱いていようよ おもかげを 旅ははるばる 涯てないとても 呼べばとどくよ 夜毎の夢に 思い出したら 祈ろじゃないか つきぬえにしを 身の幸を さらば小鳩よ 心の妻よ 瞳曇るな また逢う日まで 帽子振り振り 後ふり向けば 暁の野風が ただ寒い |
流れの旅路橋幸夫 | 橋幸夫 | 吉川静夫 | 上原げんと | | 紅いマフラーを いつまで振って 名残り惜しむか あの娘の馬車は はるかあの丘 あの山越えて ゆくかはるばる 流れの旅路 旅の一座の 名も無い花形(スター) ビラの写真の さみしい顔よ はるかあの町 あの村すぎて ゆくかはるばる 流れの旅路 紅いマフラーは 見るのもつらい 別れ惜しんだ あの娘がいとし はるかあの空 あの星見ては 行くかはるばる 流れの旅路 |
雨に咲く花橋幸夫 | 橋幸夫 | 高橋掬太郎 | 池田不二男 | | およばぬことと 諦めました だけど恋しい あの人よ 儘になるなら いま一度 ひと目だけでも 逢いたいの 別れた人を 思えばかなし 呼んでみたとて 遠い空 雨に打たれて 咲いている 花がわたしの 恋かしら はかない夢に すぎないけれど 忘れられない あの人よ 窓に涙の セレナーデ ひとり泣くのよ むせぶのよ |
流れの船唄橋幸夫 | 橋幸夫 | 吉川静夫 | 吉田正 | | 葦の葉かげに よしきり鳴いて 利根は日ぐれる 船路は遠い 波のしぶきに 帆綱も胸も 濡れて月夜の 流れ船 呼んでくれるな 潮来の灯り 一夜どまりは 情もうすい あとは白帆の 吹く風まかせ 恋の積荷が ままならぬ 都がよいの 船唄きいて なくな鴎よ 未練じゃないか 可愛いあの娘は 大利根そだち かよう心の 流れ船 |
男一匹の歌橋幸夫 | 橋幸夫 | 夢虹二 | 佐藤長助 | | 赤い夕陽は 砂漠の果てに 旅を行く身は駱駝(らくだ)の背なに 男一匹 未練心は さらさらないが なぜか淋しい 日暮の道よ 昨日ラマ塔の 花咲く蔭で チラと見た娘の 似ている瞳 男一匹なにも いうまい むかしの夢だ 空にゃほのかに 七つの星よ 月の出潮は 心が濡れる 吹くなモンゴーの 砂漠の風よ 男一匹 明日の希望を 心に秘めて 行けば鳴る鳴る 駱駝の鈴よ |
別れ船橋幸夫 | 橋幸夫 | 清水みのる | 倉若晴生 | | 名残りつきない はてしない 別れ出船の かねがなる 思いなおして あきらめて 夢は潮路に 捨ててゆく さようならよの 一言は 男なりゃこそ 強く言う 肩を叩いて ニッコリと 泣くのじゃないよは 胸のうち 望み遙かな 波の背に 誓う心も 君ゆえさ せめて時節の 来るまでは 故郷で便りを 待つがよい |