狂った果実石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 石原慎太郎 | 佐藤勝 | | 夏の陽を 浴びて 潮風に揺れる 花々よ 草蔭に結び 熟れてゆく赤い実よ 夢は遠く 白い帆に乗せて 消えてゆく 消えてゆく 水のかなたに 人は誹(そし)るとも 海の香にむせぶ この想い 今日の日もまた 帰り来ぬ 夏の夢 熱きこころ 燃え上がる胸に 狂いつゝ 熟れてゆく 太陽の実よ 潮の香も 匂う 岩かげに交す くち吻(づけ)も その束の間に 消えゆくと知りながら せめて今宵 偽りの恋に 燃え上がり 散ってゆく 赤い花の実 |
俺は待ってるぜ石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 石崎正美 | 上原賢六 | | 霧が流れて むせぶよな波止場 思い出させてヨー また泣ける 海を渡って それきり逢えぬ 昔馴染の こゝろと心 帰りくる日を たゞそれだけを 俺は待ってるぜ どらの響きも やるせなく消えて 泣いて未練をヨー 告げるのに かわいお前にゃ 何時また逢える 無事でいるなら せめての便り 海のカモメに 託してお呉れ 俺は待ってるぜ |
錆びたナイフ石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 荻原四朗 | 上原賢六 | | 砂山の砂を 指で掘ってたら まっかに錆びた ジャックナイフが 出て来たよ どこのどいつが 埋めたか 胸にじんとくる 小島の秋だ 薄情な女(やつ)を 思い切ろうと ここまで来たか 男泣きした マドロスが 恋のなきがら 埋めたか そんな気がする 小島の磯だ 海鳴りはしても 何も言わない まっかに錆びた ジャックナイフが いとしいよ 俺もここまで 泣きに来た 同じおもいの 旅路の果てだ |
嵐を呼ぶ男石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 井上梅次 | 大森盛太郎 | | 俺らはドラマー やくざなドラマー 俺らがおこれば 嵐を呼ぶぜ 喧嘩代りに ドラムを叩きゃ 恋のうさも ふっとぶぜ 「この野郎、かかって来い! 最初はジャブだ…ホラ右パンチ… おっと左アッパー… 畜生、やりやがったな、倍にして返すぜ フックだ、ボディだ、ボディだ、チンだ えゝい面倒だい この辺でノックアウトだい」 俺らはドラマー 浮気なドラマー 俺らがほれたら 嵐を呼ぶぜ 女抱きよせ ドラムを叩きゃ 金はいらねぇ オンの字さ 「この野郎、かかって来い! 最初はジャブだ…ホラ右パンチ… おっと左アッパー… 畜生、やりやがったな、倍にして返すぜ フックだ、ボディだ、ボディだ、チンだ えゝい面倒だ この辺でノックアウトだい」 俺らはドラマー やくざなドラマー 俺らが叩けば 嵐を呼ぶぜ 年がら年中 ドラムを叩きゃ 借金取りも 逃げて行く |
鷲と鷹石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 井上梅次 | 萩原忠司 | | 海の男は行く 強者(つわもの)は行く 波が騒ごうと 笑って行くが 夕陽が燃えりゃ 何故か泣ける 遠い雲間に まことの幸が あるんだ行こうよ 海を越えて 海の男は行く 星を求めて さすらいの旅路 どこまで続く 陸(おか)で失くした 心の星を 探そうよ遥かに 波間の彼方 気ままに行こうぜ 海を越えて |
明日は明日の風が吹く石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 井上梅次 | 大森盛太郎 | | 風はきままに 吹いている 鳥はきままに鳴いている どうせ男と生まれたからにゃ 胸の炎はきままに燃やそ 意地と度胸の人生だ ままよなげくな いとしいお前 明日は 明日の風が吹く 雲はきままに 飛んでいる 月はきままに笑ってる 後へはひけぬ男の意地だ 濡れた瞳は 夜霧のせいよ 別れ惜しんでいる内に 男心に 傷がつく 明日は 明日の風が吹かア |
風速四十米石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 友重澄之介 | 上原賢六 | | 「何んだいありゃ何、風速40米? アハハ…」 風が吹く吹く… やけに吹きゃァがると 風に向って 進みたくなるのサ 俺は行くぜ 胸が鳴ってる みんな飛んじゃエ 飛んじゃエ 俺は負けないぜ… 「おい風速40米が何だってんだい、エ、 ふざけるんじゃねえよ 風が吹く吹く… やけに吹きゃァがると 街に飛び出し 歌いたくなるのサ 俺は歌う 俺がうなると 風もうなるヨ 歌うヨ 俺に 負けずにヨ… 風が吹く吹く… やけに吹きゃァがると 風と一緒に 飛んでゆきたいのサ 俺は雲さ 地獄の果てへ ぶっちぎれてく ちぎれてく それが 運命だョ… 「馬鹿野郎、風速40米が何だい…アハハ…」 |
紅の翼石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 松尾昭典 | 佐藤勝 | | 空に心が あるんなら 翼も夢を 見るんだぜ 胸に残した 虹のかげ にぎる輪ッパは 俺の命さ 白い雲 青い空 紅の翼……翼 雲に思い出 あるんなら 翼も花が 咲くんだぜ あかね雲引く 海の果て あこがれ燃ゆる 空の男さ 白い雲 青い空 紅の翼……翼 |
銀座の恋の物語石原裕次郎・牧村旬子 | 石原裕次郎・牧村旬子 | 大高ひさを | 鏑木創 | | 心の底まで しびれる様な 吐息が切ない 囁きだから 泪が思わず 湧いてきて 泣きたくなるのさ この俺も 東京で一つ―― 銀座で一つ―― 若い二人が 始めて逢った 真実の 恋の 物語り 誰にも内緒で しまっておいた 大事な女の 真ごころだけど 貴男のためなら 何もかも くれると言う娘の いじらしさ 東京で一つ―― 銀座で一つ―― 若い二人の 命を賭けた 真実の 恋の 物語り やさしく抱かれて 瞼をとじて サックスの嘆きを 聴こうじゃないか 灯りが消えても この侭で 嵐が来たって 離さない 東京で一つ―― 銀座で一つ―― 若い二人が 誓った夜の 真実(ほんと)の 恋の 物語り |
赤いハンカチ石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 萩原四朗 | 上原賢六 | | アカシヤの 花の下で あの娘が窃っと 瞼を拭いた 赤いハンカチよ 怨みに濡れた 目がしらに それでも泪は こぼれて落ちた 北国の 春も逝く日 俺たちだけが しょんぼり見てた 遠い浮雲よ 死ぬ気になれば ふたりとも 霞の彼方に 行かれたものを アカシヤの 花も散って あの娘はどこか 俤(おもかげ)匂う 赤いハンカチよ 背広の胸に この俺の こころに遺るよ 切ない影が |
花と竜石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 滝田順 | 伊部晴美 | | 雲は悠々 空を行く おれはお前と 道を行く ひとたび男と 生れたら 夢もどえらい 奴をみろ 夢もどえらい 奴をみろ 酒は飲め飲め 飲みあかせ かけた徳利の 茶碗酒 男と男の この意気地 風を招くか 地を裂くか 風を招くか 地を裂くか 男なりゃこそ たくましく 燃えろ血汐よ わがこころ 洞海湾の 朝風に おれのいのちの 陽が昇る おれのいのちの 陽が昇る |
夕陽の丘石原裕次郎&浅丘ルリ子 | 石原裕次郎&浅丘ルリ子 | 萩原四朗 | 上原賢六 | | 夕陽の丘の ふもと行く バスの車掌の 襟ぼくろ わかれた人に 生き写し なごりが辛い たびごころ かえらぬ人の 面影を 遠い他国で 忘れたさ いくつか越えた 北の町 目頭うるむ たびごころ 真菰(まこも)の葦は 風にゆれ 落葉くるくる 水に舞う この世の秋の あわれさを しみじみ胸に バスは行く 夕陽の丘を 見上げても 湖の畔りを 訪ねても かいなき命 あるかぎり こころの傷は また疼く 人の子ゆえに 恋ゆえに 落ちる夕陽が 瞳にいたい さよなら丘の たそがれよ また呼ぶ秋は ないものを |
俺はお前に弱いんだ石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 石巻宗一郎 | バッキー白片 | | 「遅くならないうちに 今日はこのまま帰ろうね…」 つれないそぶり したけれど 俺の胸は 燃えている 好きだと云えぬ 何故云えぬ 古い傷あと あるからさ ただそれだけ 「またここまで来てしまったね じゃ おやすみ…」 いつも別れる さよならと 暗い露地の 曲り角 やさしく抱いて 何故やれぬ うぶなお前を みつめたら ただ泣けるぜ 「しょうがない娘だな あまえてばっかりいて…」 今日も明日も あえるのに 無理を云って 困らせる 叱ってやれぬ 何故だろう 俺はお前に 弱いんだ ただそれだけ |
黒い海峡石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 萩原四朗 | 野崎真一 | | 海峡の空を 星がひとつ飛んで 家を出たあの子が はるばる越えた 汐路の渦に… 紅い花が 紅い花が しずむ 海峡の秋を ひとり渡るかもめ 泪ぐむあの子の さみしい顔が 乱れた文字の… 残し文に 残し文に ダブル 海峡の月が 俺の眉にかかる 生きて呉れあの子よ 死ぬなと祈る 連絡船の… 黒い影も 黒い影も ゆれて |
王将・夫婦駒石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 大高ひさを | 野崎真一 | | あばれ香車(やり)なら どろんこ桂馬(けいま) 乱れ角行(かく)なら むかい飛車(びしゃ) 坂田三吉 勝負にゃ泣かぬ 可愛い小春の ために泣く 駒を握らしゃ 将棋の鬼で 俥ひかせりゃ 甲斐性無(がしんたれ) こんな男の 情にひかれ 今朝も小春の やつれ髪 勝てば王将 負ければ歩(ひよこ) 浪花 東京の 勝負どこ 命二つを 一つに燃やす 俺と小春は 夫婦駒 |
泣かせるぜ石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 滝田順 | 鶴岡雅義 | | 離さない もう離さない すがりつく あの娘の 長いまつげが 濡れている それ程までに 愛してくれる 初心(うぶ)なあの娘の 純情が ああ 俺を泣かせるぜ 貴方だけ ただ貴方だけ なにもかも 貴方に 云ってはじらう 白い顔 夜更けの星が 見つめていても 抱いてやりたい いじらしさ ああ 俺を泣かせるぜ 帰さない もう帰さない いつまでも このまま 胸に抱かれて いたいのに 無情の風が 別れの時刻(とき)を 告げるせつない 夜の道 ああ 俺を泣かせるぜ |
二人の世界石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 池田充男 | 鶴岡雅義 | | 君の横顔 素敵だぜ すねたその瞳(め)が 好きなのさ もっとお寄りよ 離れずに踊ろうよ 小さなフロアーの ナイトクラブ 夢の世界さ 僕の今夜の ネクタイを 嫉妬(や)いているのは おかしいぜ 君は可愛い 僕だけのものなのさ ギターが酔わせる ナイトクラブ 影も寄り添う 逢えば短かい 夜だから 何も云わずに 踊ろうよ 淡い灯りが 又ひとつ消えてゆく 別れが切ない ナイトクラブ 恋のクラブよ |
夜霧の慕情石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 大高ひさを | 野崎真一 | | 愛しても 愛しても 愛しきれない 君だった 夜霧の中に 泣いてかくれて 消えたまま 帰らぬ面かげ あゝ 泪の瞳 さよならの さよならの 声も哀しく かすれてた あの夜の別れ こんなやくざな 俺のため つくした真心 あゝ 忘れはしない いつの日か いつの日か 逢えるあてない 恋だけど せめても祈る 君の倖せ そればかり 夜霧に咽ぶよ あゝ 男の慕情 |
逢えるじゃないかまたあした石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 滝田順 | 鶴岡雅義 | | 夜風が二人を のぞいて行った 道の枯葉が 遠くで泣いた 「行かないで まだ行かないで」 あの娘の瞳も 泣いている 並木道 「泣かないで 涙をおふき 逢えるじゃないか またあした」 夜更けの街角 二人のものさ 淡い灯影が 舗道を濡らす 「嬉しいの やさしく抱いて」 はじらうあの娘の 愛しい うしろかげ 「嬉(いと)しいさ この僕だって 逢えるじゃないか またあした」 眸(め)と眸(め)でささやく 二人のこころ なにもいわずに 歩いていたい 「帰らない 貴方(あなた)といたい」 甘えるそぶりが なんとなく かわいいぜ 「帰ろうよ 灯りも消えた 逢えるじゃないか またあした」 |
こぼれ花石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 萩原四朗 | 上原賢六 | | 紅(あか)い 野薔薇が ただひとつ 荒野(あれの)の隅に 咲いている ものみな枯れた 山かげに 風に震えて 咲いている ちょうど 昨年(きょねん)の いま頃か 泣くなと言えば なお泣いた あの娘の帯に バラひとつ 咲いていたのを 憶いだす 寒い夕陽が 落ちたとて 荒野の薔薇よ 散るじゃない お前も俺も こぼれ花 おなじさだめの こぼれ花 紅い 野薔薇が ただひとつ 荒野の隅に 咲いている ものみな枯れた 山かげに 風に震えて 咲いている |