愛とは選ぶことだと、あなたはわたしに伝えた

 2018年5月9日に“平原綾香”がオリジナルアルバム『Dear Music ~15th Anniversary Album~』をリリースしました。100万枚以上のセールスを記録したデビュー曲「Jupiter」から15年間、様々な音楽に挑み続けてきた彼女。今日のうたコラムでご紹介するのは、そんな軌跡と未来が描かれた新曲「これから」です。作詞作曲を手がけたのは、いきものがかりの“水野良樹”さん。編曲は“亀田誠治”さんが担当しております。

あなたを愛していくこと その手とともに生きること
わたしはこころからいま 決めたんだ 決めたんだ
運命なんて言葉は与えられるものじゃない
ふたりで かたく結んで 明日へとつなぐもの
「これから」/平原綾香

 この歌は、わたしたちがそれぞれの大切な<あなた>を思い浮かべながら聴くことができるラブソングです。ただ一方で“平原綾香”という一人のアーティストにとっては【音楽】という存在が<あなた>であると言えるのかもしれませんし、リスナーひとりひとりが<あなた>であるとも言えるでしょう。つまり<わたし>と<あなた>の捉え方によって、様々な種類の【愛】を感じられる楽曲なんです。

 また、歌詞内では<手>が大切なキーワードとなっております。これは作詞者の“水野良樹”さんが、これまでも強く意識してきた言葉。歌ネットのインタビューにご登場いただいた際にも「もう【手】は僕の象徴ですね。手を繋ぐこと。繋がれた手を握り返すこと。その手を離さないこと…、大切な場面には【手】を使っていることがかなり多いと思います」と語っていただきました。

 <手>が表すのは、主人公の<こころ>であり、生きざまそのもの。そして「これから」でも、やはり<手>の描かれ方から<わたし>の想いが強く伝わってきます。それは<運命>を自ら<明日へとつなぐ>のだという意志。ふたりで手を繋ぎ、ふたつの心を<かたく結んで>“これから”へと進んでゆく意志です。サビで<決めたんだ 決めたんだ>と繰り返されるフレーズは、そんな意志をお互いに繋いだ右手と左手で、ギュッ、ギュッ、っと確かめ合っているかのようでもありますね。

幼いあの頃 誰かがくれた
意志(おもい)ある笑顔に 連れられて ここにいる
「これから」/平原綾香

 さらに<手>を繋ぐという行為は、一人で成り立つものではございません。相手がいて、相手の<手>がある。もちろん、その<手>が<手>を握り締める強さにも、違いがあります。たとえば<幼いあの頃>には<意志(おもい)ある笑顔>で自分の手を引いてくれる、家族や先生などがいた。その<手>の結びつきには“大人”の強さや優しさ、まだ未知に溢れた<わたし>のあどけなさも表れているように思えます。

わたしが生きる意味と あなたが生きる意味とが
これから重なりあって わかちあうことも増えて
それでも傷つくでしょう いくども涙するのでしょう
だからこそ わたしは あなたの その手を はなさない
「これから」/平原綾香

向き合うことだけじゃない 同じ星を見つめたいの
となりにならんでふたりで 変わりゆく日々を越えて
いつかまた振り返るときに これでよかったんだよと
わたしが言うから あなたは この手を 握ってよ
「これから」/平原綾香

 しかし、自分も大人になり、大切な人と巡り会った今。きっと<わたし>と<あなた>の<手>の結びつきの強さは同等なのではないでしょうか。というより、等しくあり続けたいと想っているのではないでしょうか。だからこそ<わたしは あなたの その手を はなさない>という意志もあり、逆に<あなたは この手を 握ってよ>という願いもあるのです。

 そして、何かをわかちあったら抱きしめ合い、傷ついたら手当てをし合い、涙をしたら拭い合い、お互いの<手>と<手>で<変わりゆく日々を越えて>ゆくのが、誰かと生きるということなんですね。

かぎりあるいのち たがいに寄り添う
永遠(とわ)のような この今が 嬉しくて

愛とは選ぶことだと あなたはわたしに伝えた
まっすぐに差し出された手に 泣かないで うなずくよ
ふたりで生きていきたい しあわせをあなたと知りたい
だからこそ わたしは あなたの その手を はなさない
「これから」/平原綾香

 愛とは選ぶこと。これからも<わたし>と<あなた>はお互いの手を重ね合い、いろんなことを選びながら、しあわせのために生きてゆくのでしょう。同時に“平原綾香”も【音楽】と共に、わたしたちと共に「これから」を進んでゆくのでしょう。そんな愛と希望に満ちた新曲「これから」を是非、じっくりとご堪能ください…!