Leola

運命も正解もその先もあるのかはわからない。それでもね…。

 2月14日はご存知、バレンタインデー。恋人に変わらぬ愛を伝えるため、あの人に勇気を出して告白するため、チョコレートを用意する時間はドキドキワクワクしますよね! ただ一方で、自分にはまったく関係ないイベントだという方もいらっしゃるでしょう。恋愛なんてないほうが気楽、深く人と関わるのは面倒、自分は孤独が好き。今日のうたコラムでは、そんなあなたにこそ一度、聴いていただきたい新曲をご紹介いたします。

「ねぇ 私たちはよく似てるね」
そう はぐれた雲が話し出す

You know? 「案外、それも気楽だね」
Who knows? 声に出して呟いてた

ひとりぼっちも悪くないよと
自分へのレポートだって
大体、書き終えてたのよ。

また君が現れるまでは…
「Puzzle」/Leola

 この歌は、2018年2月7日に“Leola”がリリースしたニューシングルのタイトル曲。2月17日から公開の映画『パンとバスと二度目のハツコイ』主題歌として書き下ろされました。物語のヒロインは、パン屋で働く恋愛こじらせ女子(深川麻衣)です。彼女は「ずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」との結婚観を持っており、プロポーズされても踏ん切りがつかずに結局、恋人とサヨナラ…。

 それからというもの、まさにバレンタインデーなんて無縁な日々を送っていたであろう姿が「Puzzle」冒頭のフレーズから見えてきますね。ポツンと<はぐれた雲>を自分と重ねる<私>はきっと、恋愛に限らず、誰かと寄り添い合うことを苦手としていたのでしょう。だから<ひとりぼっちも悪くない>と自分に言い聞かせて、もう人生の結論を出してしまおう、一人で“パズル”を完成させてしまおう、そう思っていたのです。

 しかし、彼女は完全に“ひとりぼっちが良い”と割り切っていたわけではないこともわかります。<案外、それも気楽>、<ひとりぼっちも悪くない>、<大体、書き終えてた>、それらのフレーズには、まだ“誰かと生きる人生の可能性”の余白もちゃんと残されているような気がしませんか? その余白があったからこそ、そこに<君>という存在が、ひとつのピースとしてハマった。そして<私>は自分のパズルが、実は一人では完成しないことに気がついたのではないでしょうか。

君が今 誰よりも 会いたいと
いちばんに 想うのは…?
今はまだ、I don't wanna know
その答え 知る勇気なんてなくて…。
でもそれが 私なら なんてこと 考えて
らしくないよね。 もう、バカみたい。
No way! でも気になるの。

永遠も約束も これからも、
頼りには出来ないの
それでもね、君にまた胸を焦がすの
左斜め後ろが 今の私の居場所
だけど…
I just want to be with you...
「Puzzle」/Leola

 劇中で、ヒロインはある日偶然、中学時代の初恋相手である男性(山下健二郎)に再会します。その彼が「Puzzle」で描かれている<君>であり、彼との再会をきっかけに<私>は、もう書き終えそうだった<自分へのレポート>を大きく書き換えてゆくことになるのです。とはいえ、なんだか<らしくない>し、やっぱり<永遠も約束も これからも、頼りには出来ない>気持ちも揺れる…。これまで一人で強く生きてきた方なら尚更、そんな不安は大きいのだと思います。

運命も正解も その先も、
あるのかはわからない
それでもね、 君とのね夢を見ている
「Puzzle」/Leola

 だけど<わからない>から逃げるのではなく、今の<私>には<それでもね>と、不確かな未来を信じようとする強さがあるんです。それは“一人の強さ”とはまた異なるもの。心から“誰かのそばにいたい”と願う気持ちが、彼女を強くしているのでしょう。また、自分のパズルが一人では完成しないことに気がついた<私>は、<君>のパズルにおける<居場所>も大切になってゆきます。

永遠も約束も これからも、
頼りには出来ないの
それでもね、君にまた恋をしている
君のその横顔が 見える特等席に いつか…
旨く言えないけど
I just fall in love with you...
「Puzzle」/Leola

 歌の中盤の<左斜め後ろが 今の私の居場所 だけど…>というフレーズが、ラストでは<君のその横顔が 見える特等席に いつか…>という願いに。<君>の人生にとっての一番の特別になりたいという想いが真っ直ぐに伝わってきますね。もしも今、はぐれた雲に「ねぇ 私たちはよく似てるね」と語りかけられても、もう<私>は頷きはしないでしょう。何故なら、大きく書き換えた<自分へのレポート>には“ひとりぼっちも悪くないよ”ではなく“君の特別になってそばで生きたい”と綴られているから。

 恋愛なんてないほうが気楽、深く人と関わるのは面倒、自分は孤独が好き。そう<自分へのレポート>に書いている方、その生き方も間違いではありませんが、少し、ほんの少しだけ“余白”を残しておくと、もしかするとある日突然、大きな変化の日が訪れるかもしれません…!
映画『パンとバスと二度目のハツコイ』は、恋愛映画の旗手として注目を集める監督・今泉力哉が描くオリジナル恋愛ストーリー。
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