未来の君がもう1mmだけ頑張れる日の為の、雨宿り。

 2018年11月7日に“コブクロ”がニューシングル「風をみつめて」をリリースしました。タイトル曲は“唐沢寿明”主演の月曜ドラマ『ハラスメントゲーム』主題歌として書き下ろされた楽曲。人間の業や欲が生み出す、様々なハラスメントに真っ向から挑む、痛快ヒューマンエンターテインメントドラマを包み込むのが、この渾身のバラードです。

もしも バラの花に棘が無かったら
どんな色の花びらを付けていたのかな?
全てを受け入れながら 誰かを傷つけながら
そうして 守るべきものに気付くのが

人生 淡い希望と深い影のコントラスト
その淵に浮かんだ今日を 生きているのなら
あとほんの少しだけ 陽の当たる場所へ
自分の足で 歩いてゆきたい
「風をみつめて」/コブクロ

 イントロはなく、温かな問いかけの声で幕を開ける歌。よく【薔薇に棘あり】という言葉は聞きますよね。美しいものには人を傷つける一面がある。表は綺麗に見えても、裏には醜く恐ろしい面を秘めている。そんな意味合いです。でもきっと、この歌が伝えようとしているのは「いっそ棘なんてなかったらいいのになぁ」という嘆きではありません。

 逆に<もしも バラの花に棘が無かったら>こんなに美しい<色の花びら>を付けてはいないんだろうなぁ、という想いなのです。ちなみに、まだバラの茎が柔らかいうちに棘を取ってしまうと、その傷は治りにくく、茎が折れやすくなるんだとか。さらに、若いときには棘が茎の働きを助ける役目をしているそうで、棘はバラに必要なものなのです。
 
 同様に、わたしたちの<人生>にも、いらないようで実は大切な<棘>があるのでしょう。たとえば、コンプレックスや欠点。それを取ってしまわずに<全てを受け入れながら 誰かを傷つけながら そうして 守るべきものに気付く>ことで、唯一無二の<淡い希望と深い影のコントラスト>が生まれる。美しい<色>が生まれるのだと思います。

ネジ山の磨り滅った ネジを力一杯
回した瞬間 二度と動かなくなったんだ
全てをバラバラに壊してしまうまで
ただの強さと勇気の区別もつかない僕等さ
「風をみつめて」/コブクロ

 ただし<棘>を抱えながら<自分の足で 歩いてゆきたい>と思っても、その“頑張り方”を間違えれば<全てをバラバラに壊してしまう>こともあるのだと教えてくれるのが、2番の歌詞です。みなさんも<ネジ山の磨り滅った ネジを力一杯 回した瞬間>にネジ山が完全につぶれて、どうにもならなくなってしまった経験ありませんか?

 ドライバーのサイズが合ってなかったり、使い方が悪かったり、ネジ自体が腐ってしまっていたり。その原因に気づかずに<ただの強さ>だけで闇雲に頑張ろうとすると、ダメになってしまうんですよね。それは“人の生き方”にも重なります。大切なのは、今しんどい理由をちゃんと理解して、そして<勇気>をもって<あとほんの少しだけ 陽の当たる場所へ>歩くために行動することなのでしょう。

狭い空をただ見上げてる
「明日が良い日でありますように」

降り注ぐ時代の風を見つめて 流せない涙が作る微笑み
まぶたの裏 話しかける
「あなたが元気でいれますように」
ゆっくりでも良い 前を向いて
一歩も進めない そんな今日は
未来の君がもう1mmだけ 頑張れる日の為の 雨宿り
時は巡り 雨上がり
「風をみつめて」/コブクロ

 歌はこうして幕を閉じてゆきます。泣いてしまえれば楽だけれど、様々な試練が<降り注ぐ時代の風>に負けていられないから<流せない涙>は<微笑み>に変えるしかない。その日々のなかで“力”になるのが、空を見上げて「明日が良い日でありますように」と希望を育てたり、目を閉じて大切なひとに「あなたが元気でいれますように」と祈ったりする時間です。
 
 さらに、前述した“今しんどい理由”を理解するためにも、自分の<棘>や<花びら>の色をよく見つめるためにも、きっと<一歩も進めない>時間だって必要。つまり“立ち止まってみる時間”=<未来の君がもう1mmだけ 頑張れる日の為の 雨宿り>なんですね。そう考えると“進めない今”にいても、少し心が上向きになる気がします。
 
 明日が良い日でありますように。あなたが元気でいれますように。コブクロからわたしたちへのそんな願いも込められている「風をみつめて」を是非、歌詞をじっくり噛み締めながら、聴いてみてください…!

◆紹介曲「風をみつめて」
作詞:小渕健太郎
作曲:小渕健太郎

◆30thシングル「風をみつめて」
2018年11月7日発売
通常盤 WPCL-12953 ¥1,204+税

<収録曲>
M1. 風をみつめて
M2 夏の雫
M3 白雪
M4 風をみつめて(Instrumental)
M5 夏の雫(Instrumental)
M6 白雪(Instrumental)