こんなダサい私、こんなダサい話、ここだけの話。

 2018年10月17日に“NakamuraEmi”が新曲「相棒」を配信リリースしました。この歌は、自動車メーカー『Volkswagen』とのコラボ曲として書き下ろされた楽曲。車好きな彼女は今作について「Volkswagenさんの車をお借りしながらツアーに回ったり仕事と家の行き来をする毎日がそのまま曲になりました」とコメントを寄せております。

髪は崩れちゃって 顔もぐしゃぐしゃで
ドアを開けたら力抜けた
一番前にシートひいて ホットのコーヒーを置いて
今日も一緒に帰ろう
「相棒」/NakamuraEmi


 疲れ切った主人公が愛車に乗り込むシーンから幕を開ける歌。「今日も頑張るぞ!」と気合を入れてセットした<髪は崩れ>てしまうほど全力で働いて。化粧を直す時間も、そんなことを考える余裕もなくて<顔もぐしゃぐしゃ>になって。だけど一日が終わり<ドアを開けたら>やっと自分を取り戻して<力抜けた>のでしょう。

 バタンとドアを閉める音は、頑張る時間の終わりの合図です。世の中の雑音もごちゃごちゃな人間関係も、もうシャットアウト。まずは<一番前にシートひいて>、お気に入りの<ホットのコーヒー>を置いて、しっかり居心地の良い空間を整えます。そして大好きな愛車で走り出し、自宅に、本来の<私>に帰ってゆくのです。

大きなため息とともに 涙で前が見えない
相棒よワイパーを頼むよ
ハンドルを強く握り 独り言が始まった
本当はあの時もっとこう言いたかったんだよね
ぐちぐちぐちぐちぐちぐち
練習でもしとくか
次こそはがつんとわたしだって言えるように
こんなダサい私 こんなダサい話 ここだけの話

気がすむまで 遠回り付き合って
もっと君も走りたいだろう
「相棒」/NakamuraEmi

 本来の<私>に帰れば、たちまちこぼれる<大きなため息>と<涙>。きっと<こんなダサい私 こんなダサい話 ここだけの話>という主人公は、どんなしんどいことがあっても、愚痴や不安や自己嫌悪を抱いていても、誰にも言わない人。恋人にも家族にも仲間にも“弱み”を見せない“強さ”を持っているのだと思います。

 ただし、それは“強がり”であることも多々。ゆえに必要なのが<君>=【相棒の車】です。人じゃないけど、人じゃないからこそ、気を抜ける大事な存在なのです。また、心の曇りは簡単に拭えるものではありません。でも代わりに愛車の窓に<ワイパー>をかけて綺麗にすれば、ちょっと頭がスッキリするかもしれないですよね。

 人生の操縦だって、なかなか思い通りにはいかないものです。だから愛車の<ハンドルを強く握り>ながら<次こそはがつんと>言いたいことを言う<練習>をしたりして、明日はもっと“自分の心”を上手く運転できるように、戦っているのではないでしょうか。つまり<君>との走行距離は、自分自身と向き合った時間の証なのです。

少し窓を開けよう 吐き出した言葉
あの町に置いてくの 君は得意でしょ
「相棒」/NakamuraEmi

仕事に行く私
旅に出た私
恋をした私
嬉しそうな私
ふてくされた私
勇気を出した私
振り出しにもどった私
全部ここだけの話
全部君しか知らない
何も言わずに前に進むの 君は得意でしょ

私と君の毎日
私と君の毎日
明日も一緒にあの町へ
「相棒」/NakamuraEmi

 さらに歌が進むにつれ、どんどん<私と君>が一心同体であるように思えてきませんか? 毎日<私>の<ぐちぐちぐちぐちぐちぐち>の分だけ走る<君>。毎日<君>が走ってくれるから、明日も頑張ることができる<私>。それに<君は得意でしょ>と描かれていることは<私>が得意なことでもあるように感じられます。

 <吐き出した言葉 あの町に置いてく>ことや<何も言わずに前に進む>ことは<私>自身の生き方なのでしょう。過去は置いて、とにかく前に進んでゆく。それが<私と君の毎日>です。まさに「相棒」という言葉がピッタリ!あなたにとっての、明日も頑張るための「相棒」は何ですか? 乗り物でも、場所でも、食べ物でも、音楽でも、自分だけのとっておきの存在が毎日そばにありますように…!

◆紹介曲「相棒
作詞:NakamuraEmi
作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ

◆紹介曲「相棒」
2018年10月17日配信
作詞:NakamuraEmi
作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ