あれから少しでも変わってこれたでしょうか?

誰かを通して 何かを通して
想いは繋がっていくのでしょう
遠くにいるあなたに 今言えるのはそれだけ
悲しい昨日が 涙の向こうで
いつか微笑みに変わったら
人を好きに もっと好きになれるから
頑張らなくてもいいよ
「to U」/Bank Band

 2018年7月13日に“Bank Band with Salyu”が新曲「MESSAGE -メッセージ-」をリリースしました。Bank Bandとは、小林武史、櫻井和寿を中心に結成されたバンドであり、今作は、冒頭でピックアップした代表曲「to U」と「繋がっていくものにならないかな」という想いから生まれた1曲だそう。いわば“続編”です。誰かを通して、何かを通して、繋がっていく想い。今日のうたコラムでは、そんな名曲の芯に通ずる「MESSAGE -メッセージ-」をご紹介いたします!

あれから少しでも 変わってこれたでしょうか?
誓いは立てたけれど そこで何かが終わってた
目の前の机には 昨日までの宿題が
白紙に近いままで また今日が覆い重なる
「MESSAGE -メッセージ-」/Bank Band with Salyu

 まず、タイトルの「MESSAGE -メッセージ-」という言葉には、3つの意味があるように思えます。1つ目は【自らが放つメッセージ】です。櫻井和寿のあたたかな歌声で<あれから少しでも 変わってこれたでしょうか?>と幕を開ける歌。いつのまにか日々は<昨日までの宿題が 白紙に近いままで また今日が覆い重なる>繰り返しになっていて…。その現状にふと気がつき「最近、大丈夫か?」と自問自答をしているのでしょう。
 
 そして「最近、大丈夫か?」と、今の自分に伝えるきっかけとなったのは、かつての<誓い>ではないでしょうか。誓いもまた【自らが放つメッセージ】だと言えます。未来の自分へのメッセージです。しかし、そのメッセージが月日を経て“今の自分”の肩を叩いたとき、思い描いていた未来にはなっておらず<何かが終わってた>ことにハッとした。つまり過去の【自らが放つメッセージ】が現在の【自らが放つメッセージ】に繋がり、自身に届いたということなのです。

教室の隅 貼り出された 子供の頃の夢には
職業の種類だけが並んでた
でも本当は自分を ちゃんと愛せる自分に
なることが何よりも大事だった
「MESSAGE -メッセージ-」/Bank Band with Salyu

自分と違う誰かの生き方とハモれずに
心がささくれ立つ日は
この世界に生まれた意味をぼんやり考えたりもする

もしかして性別とか人種とかの「違い」は
思いがけない可能性と
想像を超えた大きな意義を
そこに忍ばせたメッセージかも
「MESSAGE -メッセージ-」/Bank Band with Salyu

 さて、タイトルに込められた2つ目の意味は【受け取るメッセージ】です。たとえば<教室の隅 貼り出された 子供の頃の夢 職業の種類だけが並んでた>光景を思い出して、受け取るのは<本当は自分を ちゃんと愛せる自分に なることが何よりも大事だった>というメッセージ。さらに<自分と違う誰かの生き方>や<性別とか人種とかの「違い」>からも<思いがけない可能性と 想像を超えた大きな意義を そこに忍ばせたメッセージ>を受け取ることができるかもしれません。

泣いたり笑ったりして 出来た皺に愛を注げば
今日までどんな風に生きてきたかあなたに記す
心の地図
「MESSAGE -メッセージ-」/Bank Band with Salyu

 誰かや何かからのメッセージ、生活や思い出に潜んでいるメッセージを、ひとつひとつ丁寧に受け取りながら、日々<泣いたり笑ったりして 出来た皺に愛を>注いで、年を重ねてゆくことこそが“人生”なんだ。きっと、そうやって生きてゆけば自然と<心の地図>は広がっているんだ。誰もが過去からちゃんと変われるんだ。そんなメッセージを伝えているのが、この歌なのでしょう。

「きっとうまくいく」とか 「何か意味がある」とか
スケールの大きな嘘で
ただ忙しいだけの ちっぽけな暮らしを
慰めて生きてる
だけどもう一度 だからこそもう一度
夢見る時代(ころ)は去ったとしても
まだ自分さえ知らないような 新しい自分になりたい
「MESSAGE -メッセージ-」/Bank Band with Salyu

「何かの暗示」だとか 「別の意味がある」とか
スケールの大きな嘘を 冷めた顔で馬鹿にしながら
どこかで信じて暮らしてる
だけどもう一度 だからこそもう一度
望んでなれるものじゃなくても
まだ自分さえ知らないような
「幸せだよ」と真っ直ぐ言えるような
笑顔の自分になりたい
「MESSAGE -メッセージ-」/Bank Band with Salyu

 最後に、こちらはサビのフレーズ。ここに込められているタイトルの3つ目の意味は【信じるメッセージ】です。「きっとうまくいく」とか「何か意味がある」とか「何かの暗示」だとか「別の意味がある」とか、ただ単に<スケールの大きな嘘>だと切り捨ててしまえばそれまで。言葉は無力です。でも<ただ忙しいだけの ちっぽけな暮らしを 慰め>ることや<どこかで信じて暮らしてる>ことで、そのメッセージたちに力が生まれるのではないでしょうか。

 さらに【信じるメッセージ】は、自分が<だけどもう一度 だからこそもう一度>と立ち上がるための支えになります。<まだ自分さえ知らないような 新しい自分になりたい>と、<「幸せだよ」と真っ直ぐ言えるような 笑顔の自分になりたい>と、上向きな意志を掲げるエネルギーになります。あなたは、どんなメッセージを受け取って、どんなメッセージを信じて、どんなメッセージを放って生きてゆきますか…?
 
 是非、Bank Band with Salyu「MESSAGE -メッセージ-」を聴きながら、自分だけの大切な3つの【メッセージ】について、じっくり考えてみてください。