『愛しています』とちゃんと言えばよかった。

『ずっと好きだった』
『大好きだった』
あなたに会いたい 涙が止まらないや
「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」/横浜流星

 愛の言葉と涙で始まる歌。2018年6月25日に“横浜流星”が配信リリースした「今日もいい天気 feat. Rover (ベリーグッドマン)」です。尚、俳優・横浜流星は同曲でソロアーティストデビュー。GReeeeNのプロデューサーJINがプロデュースを手がけ、ベリーグッドマンのRoverを迎えたラブソングとなっております。今日のうたコラムではそんな新曲をご紹介。

いつだって何気ない会話だった
もっと話したい話題はあった
ふーん、あ、そう、そうだよね、そうなんだ
毎日少しずつ過ぎていった
いつから
君想う自分に気付いた時には もはや手遅れ
あの時 の言葉の 意味 今わかるよ I miss you

振り返れば懐かしい思い出
ダサくて笑うね 今も心に刺さる
「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」/横浜流星

 サウンドは晴れやかでポップなのですが、そこに込められている想いは<もはや手遅れ>だという苦く切ない【後悔】です。いつだって当たり前みたいにそばにいた。別にいつだって伝えられるはずだと思い込んでいた。だから<僕>は『ずっと好きだった』も『大好きだった』も、口にすることを先延ばしにして<いつだって何気ない会話>ばかりをしていたのでしょう。
 
 それに<ふーん、あ、そう、そうだよね、そうなんだ>と、ほとんどの場合<僕>は軽い相づちを繰り返し、聞き役に回っていた模様。本当は<もっと話したい話題はあった>のに…。積極的に話す<君>に対して、常に受け身で弱気だった<僕>の性格が見えてきそうですね。それゆえに、大切な“言葉”も限りある“時間”も<毎日少しずつ>無駄にしていたのです。

今日もいい天気 今日もいい天気
あなたに会いたい もう一度だけでいい
今日もいい天気 今日もいい天気
『愛しています』と ちゃんと言えばよかった
「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」/横浜流星

 やがて、残念なことに大切な人は<僕>の元を去ってしまいました。心には<あなたに会いたい>という未練が残ったままです。サビで繰り返される<今日もいい天気>というフレーズは、まるで<僕>の心を表しているかのよう。あの頃と変わらず“今日もあなたに会いたい”と、一点の曇りもなく“今日も『愛しています』”と、想い続けているまっすぐな恋心が伝わってきます。
 
 『愛しています』とちゃんと言っていれば、何かが始まっていたかもしれません。もちろん『愛しています』と言ってしまったから、何かが終わってしまうこともあるでしょう。でも、どちらにせよ伝えなければ、始まることも終わることもできないのです。しかも、もう言葉を届ける術はなくて<もはや手遅れ>…。その結果<僕>は、終止符を打つことすらできずに<今日も>同じ心模様で、愛する人を思い続けているのですね。

今もよく行くあの店
いつもよく食べたメニュー閉じ 外眺め
僕は今も相変わらず 何もわからず
生きることを生きてる
あの頃は良かったな、
あの時のお前最高だったな なんて
相変わらずな奴らと変わらない会話を
くだまいてる毎日

時々昔のこと
ふと思い出すよ 思い返すよ

きっと 少しずつ進めてる
けれど どこかで あなた探してしまう
「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」/横浜流星

 ただし、一見<変わらない>毎日に見える日々でも、月日は動いていますし、自分自身も変わっているものです。たとえあの店で、あの料理を食べて、相変わらずな奴らとくだをまいていたとしても。<あの頃は良かったな><あの時のお前最高だったな>と、客観的に過去を見つめているのは“大人になっている”証。ちゃんと“変わっている”ことの証でしょう。きっとそれは同時に<少しずつ進めてる>ことでもあります。

もっとできたんだ もっと言えたんだ
あなたのやさしさ 急に空へと消えた

今日もいい天気 今日もいい天気
あなたに会いたい もう一度だけでいい
今日もいい天気 今日もいい天気
あなたに会えるなら 他に何もいらないよ

今日も生きてるよ ちゃんと生きてるよ
あなたに会いたい 時は戻らないから
今日もいい天気 今日もいい天気
あなたがくれてた 笑顔を繰り返して
「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」/横浜流星

 こうして幕を閉じてゆく歌。今日もいい天気、今日もいい天気。今日も<あなたに会いたい>という想いが薄れることはありません。また<もっとできたんだ もっと言えたんだ>という後悔も心に絡みつきます。でも、ラストでは<今日も生きてるよ ちゃんと生きてるよ>という前向きなフレーズがあるんです。しっかり<時は戻らないから>という事実を受け入れ、強い日差しの中を進んでいこうとする意志が感じられるんです。
 
 だからこそ<涙>で始まった歌が<笑顔>で終わってゆくのでしょう。今、胸の内に<ちゃんと言えばよかった>という想いを抱えている方。または“言葉”や“時間”に受け身になりすぎている方。そんなあなたにこそ、横浜流星の「今日もいい天気 feat. Rover(ベリーグッドマン)」が届きますように…!