手遅れになる前に正直になれよ。

 2018年5月30日に“KANA-BOON”がミニアルバム『アスター』をリリース!今作には、夏をテーマにした5曲が収録されております。ちなみにアルバムタイトルの【アスター】とは、7月~9月に咲く花の名前のことであり、花言葉は【変化】【追憶】【信じる恋】などなど。そして実はそんな花言葉が、収録曲の歌詞に大きく関係しているようなんです。

サイレントムービーのように言葉なくたって
何だって分かってる
変わってくことだって知ってる
さよなら、運命だ、しょうがないよな
恋だって愛だってなんだってやがて忘れる簡単に
一生の誓いも一瞬のつがいも
君もそうだと思ってたよ
「彷徨う日々とファンファーレ」/KANA-BOON

 こちらは、今作の入口にもなっているリード曲です。未来のことなんてこれまでの経験で大体わかる。どうせ以前と同じことが起きるに決まっている。それならもう期待したくない。そう思いながら生きている方、少なくないでしょう。この歌の主人公もまた、それなりに年を重ねたからこそ<何だって分かってる 変わってくことだって知ってる>と思い込んでおります。

 また、誰に対しても<さよなら、運命だ、しょうがないよな 恋だって愛だってなんだってやがて忘れる簡単に>と思ってしまう。きっとそれはかつて<一生の誓い>だったはずの何かや<一瞬のつがい>だったはずの誰かを失ったからですよね。だけど<君もそうだと思ってたよ>と、思いが“過去形”になっているということは、今やっと【変化】の兆しが見えてきているということ。つまり<君>は“これまでと同じではない”のではないでしょうか。

交差点、すれ違う人波
偶然を待ってることに気がついて
たまらなくなって

会いたいだけ
嗚呼、痛いだけ
日々が過ぎてゆく
暗い夜と確かなハイライト
やけに響くファンファーレ
会いたいだけ
嗚呼、痛いだけ
君に話したい
笑いごと、辛いこと、伝えたいこと
感情の隅から隅まで
「彷徨う日々とファンファーレ」/KANA-BOON

 ふと<偶然を待ってる>心。ただ<会いたい>と願う心。そして<君に話したい 笑いごと、辛いこと、伝えたいこと 感情の隅から隅まで>と溢れる心。主人公はたしかに新たな恋をしていますね。ただ一方で<嗚呼、痛いだけ>という理性がブレーキをかけようとしている様子も伝わってきます。本当は【変化】したいのに【追憶】にふけると、かつての自分が邪魔して新しい何かを【信じる】ことが難しくなってしまうのです。

ラララ 心よ、なにもかも
ラララ 追い越してしまえよ
ラララ 言い訳だらけの頭は役立たず
「彷徨う日々とファンファーレ」/KANA-BOON

時計、針ぐるぐると
時間切れが近づく合図
手遅れになる前に正直になれよ
「彷徨う日々とファンファーレ」/KANA-BOON

 それでも<言い訳だらけの頭>に負けまいとするのが、この主人公です。【追憶】のなかの傷やトラウマや“どうせ…”というネガティブな感情は大きなものであるはず。だけどそれ以上の力で、自らの心を<なにもかも追い越してしまえよ>と<手遅れになる前に正直になれよ>と叱咤激励し、なんとか【変化】しよう、大切な<君>と【信じる恋】をしよう、そう前を向こうとしているのでしょう。

会いたいだけ
会いたいだけ
君を想っている
暗い夜にかすかな光を
揺れる明日にファンファーレ
会いたいだけ
会いたいだけ
君が瞼の裏、焼き付いて
いまも鮮明に、笑ったり泣いたり忙しいな

ただあてもなく彷徨う日々からはさよなら
君のもとへ走るバスに飛び乗って
「彷徨う日々とファンファーレ」/KANA-BOON

 それゆえに歌のラストでは<嗚呼、痛いだけ>というフレーズがなくなり、ただただ<会いたいだけ>というパワーが増しているのです。そして、過去に囚われて<ただあてもなく彷徨う日々からはさよなら>して<君のもとへ走るバスに飛び乗って>新しい未来へと走ってゆくのです。尚、今作『アスター』には次のような歌も収録されております。

エンドロール流れる夜
さよなら間際の君の声

忘れない
忘れられない恋だったよ
元気でいてね
さよならは言わないからね
「夏蝉の音」/KANA-BOON

 この歌は、もう取り戻せない<些細な幸せ>を【追憶】する夏の失恋ソング。もしかしたら「彷徨う日々とファンファーレ」の主人公にはこんな過去があったのかもしれないという想像も広がります。でも<さよならは言わないからね>と終わってゆく「夏蝉の音」に対し、先ほどの「彷徨う日々とファンファーレ」のラストには<さよなら>という言葉が綴られていました。そう考えると【追憶】を終えて【信じる恋】に【変化】してゆく主人公の姿がよりくっきり見えてくる気がしますね…!

 過去を未来に当てはめて見つめて、何かを諦めているあなた。それではあまりに“今とこれから”がもったいない!是非、KANA-BOON「彷徨う日々とファンファーレ」の歌声がその心に届きますように!

◆ミニアルバム『アスター』
2018年5月30日発売
初回生産限定盤 KSCL-6308~6309 ¥2,500+税
通常盤 KSCL-6310 ¥1,500+税

<収録曲>
1. 彷徨う日々とファンファーレ
2. ベガとアルタイル
3. アスター
4. 線香花火
5. 夏蝉の音