ねえ、またどこかで会えるその時を忘れないで

リミッターカットのモータサイクルで
朝が待つ丘を駆け上がって
赤い太陽が突き刺さったから涙してたんだ
国道沿いのボーリングセンターは
ヤンチャなムードが待ち構えて
君を守るとか出来やしないのに戦士ぶったんだ
「僕はこう語った」/フルカワユタカ

 2018年1月10日に“フルカワユタカ”が3rdフルアルバム『Yesterday Today Tomorrow』をリリース!今日のうたコラムでは、今作からリード曲の「僕はこう語った」をご紹介いたします。まず<リミッターカット>とは、最高速度の抑制機能を無効にすることなんだそう。つまりバイクに乗った<僕>は、超ハイスピードで<朝が待つ丘を駆け上がって>いたということですね。

 そんな冒頭からは、強い情熱や勢い、生命力が伝わってきます。さらに、丘の上にたどり着いた彼の顔を、真正面から照らした<赤い太陽>は眩しくて希望的。おそらくこの自分は、アルバムタイトルでいう【Yesterday】=【過去】を思い起こさせる<僕>なのではないでしょうか。だからこそ<君を守るとか出来やしないのに戦士ぶった>あの日の青さも浮かび上がってくるのです。

今ならば君に言える
僕のことを好きになって欲しい疑わずに
あの日僕は強がってた 自分を信じてた 
好きであって欲しいそう願ってた
「僕はこう語った」/フルカワユタカ

 そして、サビに綴られているのが【Today】=【現在】の想い。今、大人になって少し熟れた心で、あの日を見つめれば、ただ<強がってた>だけの自分に気づくのです。青春ごっこで、戦士ぶって、本当は<君>が好きでいてくれるか不安で…。だけど<今ならば>ちゃんと言葉で<僕のことを好きになって欲しい>と伝えられる。冷静さや安定感や覚悟、若い頃とはまた違う強さを身につけたであろう<僕>の変化がわかりますね。

ねえ またどこかで会えるその時を忘れないで

そよ風に君はくすぐられて
くしゃみした変なメロディーの
変わらないものは抱きしめてよう
変わって行く時の中でたとえ痛みながらも
「僕はこう語った」/フルカワユタカ

 さらに、歌の後半には【Tomorrow】=【未来】への想い、意思が込められております。【Yesterday】=【過去】とちゃんと向き合うことができたからこそ【Today】=【現在】の自分が今ココにいるのです。その【Today】=【現在】が【Tomorrow】=【未来】の<僕>や<君>に繋がってゆくのです。昨日、今日、明日…。これらを繋ぎ続けることが“人生”を築いてゆくということなんですね。そんなことに気づかせてくれるのも「僕はこう語った」の歌詞力です。

リミッターカットのモータサイクルで
夜のネオン街立ち止まって
赤い太陽は忘れちゃったから涙出ちゃうんだ
それから僕はこう語ったんだ
「君を守れる 守りきれるよ」と
ねえ はは 笑わないで
「僕はこう語った」/フルカワユタカ

 歌はこうして幕を閉じてゆきます。大人になったからこそ、言えること、手に入れたもの、見えるものもあるけれど、それは同時に、あの青く眩しい日々には戻れないということでもあるんですよね。その寂しさは<赤い太陽は忘れちゃったから涙出ちゃうんだ>というフレーズからも感じられます。それから「君を守れる 守りきれるよ」と、語った僕。では、ラストの<ねえ はは 笑わないで>という一行に込められているのは、何と名づけられる感情だと思いますか? 皆さんにも<今ならば>言える想い、ありますか…?

◆3rdフルアルバム『Yesterday Today Tomorrow』
2018年1月10日発売
NIW-137 ¥3,000+税

<収録曲>
1. revelation
2. シューティングゲーム
3. busted
4. 僕はこう語った
5. days goes by
6. デイジー
7. DAMN DAMN
8. nothin' without you
9. バスストップ
10. no boy no cry